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    ​「fantasia」


    「fantasia」
     
     
    2019年4月21日。渋谷QUATTROのステージで高らかに宣言した。
     
     
    「ハウル、2年振りのアルバム出すってよ!」
     
     
    みんなが喜んでくれる姿がとにかく嬉しかったのを覚えてる。
    やっと言えたことも嬉しかったし、また音源を出せることが何より嬉しかった。
    ステージから降りて、楽屋でも散々盛り上がった。その日のライブのハイライト。
    ライブを観に来てくれた家族や、久々の友達や関係者。色んな人とそれはそれは盛り上がった。そのあとの打ち上げでも、ツアーを帯同してくれたPAやローディー、照明やイベンターの兄貴たち(かれこれ3〜4年ライブを一緒に作ってくれている)とかと今までの歴史を振り返ったり、ライブの反省や、相談、色んなことを話したり、とにかくまあ盛り上がった。
    ただ一つの話題を除いて。
     
    そう。この時、アルバムの曲はその前に配信リリースした「ヌレギヌ」しか出来ていなかったのである。
     
    そのあと遅れて打ち上げに登場したボス(おれが高校3年の時、文化祭にまで観に来てくれたチーム一番の古株で、ここまでずっと一緒に歩いて来てくれた事務所の人であり、ハウルチームの大将)に言われた一言で現実に帰ったのをよく覚えてる。
     
    「竹ちゃん、アルバム一曲しか出来てないけどどうしようねえ。。」って。
     
    グサッって音たぶん周りにも聞こえてたな、あれは。
    アルバムとか言っといて、収録曲3曲とか笑えねえなあ、なんて思いながらもただ焦りだけが募っていった。もちろん、リリースしていなかった期間にたくさん曲は作っていたから、曲がなかったわけじゃない。ただ、新しく始まったHOWL BE QUIETで、拓郎が入ってからの4人で作り上げたものをアルバムにしたかった。
    それが一番大きな理由。
     
    そこからはひたすら制作に潜った。まあ、初期衝動というのはすごいもので、あれよあれよと曲が出来「収録曲14曲くらいがいい!」と駄々こねるくらい色んな曲が出来た。ただ、アルバムというのは球体みたいなもので、たくさん曲を入れればいいというわけではないし、一曲一曲がちゃんと生き物として輝く形で送り出してあげたいという気持ちもある。
    「あーこいついるせいで、なんか四角くなっちゃってんなー」とか「おいおいおまえ一人そんなに尖ってどうする」とか、とにかくアルバムとして、しっかり綺麗な球体にすべく試行錯誤する。
    その上で、もちろん事務所やレーベルにも理想とするアルバム像というのがあるわけで。
    そこをメンバー、スタッフ間で、揉み合い、戦い、血を流しながら、一番良いと思う形、曲たちを選んだのが、今回の8曲でした。脱線失礼。

    話を戻して。
    とにかく曲が出来たんだけれど、実はこのアルバムは初め7曲入りのアルバムだったのです。
    そして、レコーディングの話も出始めた時に、もう一曲おれららしい、竹縄らしい曲入れたくない?って話になった。はて、おれらしいとはなんぞや?なんて思いながら、きっと心のどっかでははっきりしていて、すぐに曲が書けたんだよなー。あれは不思議だった。面白かった。パッと浮かんだ時のメロディーと言葉は、そのままサビになった。

    その曲が「fantasia」です。

    ハウルの歴史を見ても、曲が出来てから音源としてリリースされるまでの時間ランキングでは圧倒的1位。作ってからレコーディングまでがものすんごく早かった。
    昨日のふくぼんみたいに、作ってから2年くらい経ってようやくリリースって曲もある中で、このスピード感はすごかった。笑えるくらい早かった。でも、バンドとしても、おれ個人としても、一番最後に作った曲が、アルバムに入り、先行配信されて、テレビでも歌わせてもらったりというのはすごく嬉しいこと。
    テレビなんか2年振りだったからなあ。しかも同じ音楽の日。
    なんだか勝手に縁を感じたり。テレビよ?テレビ。普段ガハハハと笑いながら観てたり、ちっちゃい頃から音楽の情報と言えばテレビだったあのテレビよ?簡単に出れるわけなんかないし、ましておれらだけで出れるわけなんかなくて。
    2年経っても、またアルバム出します!って言ったら「それなら!」って動いてくれるスタッフがいて、その人たちがこれでもかってくらい力貸してくれて、掴み取ってくれたテレビで。
    やっぱり、一番最新のおれらを、見て、聴いてもらえるのがなにより幸せだと思うのよ。
    なんでもそうだけど、連絡取れなかったり、何してるかわかんない時って不安になるし、ずっとそんな状態だったから余計に嫌だなって思う。
    だから、今回こうやっておれらをいろんなところに連れてったり、発信してくれる周りのスタッフのおかげなんだよね。今のおれらがいるのは。
     
    感謝って言葉じゃ足りるわけないけど、本当に感謝だ。
     
    おれらだけじゃ何も出来んからね。
     
    そうだ、タイトル。危うく忘れるところだった。「fantasia」。幻想曲。
    色んな選択肢がある中で、一歩間違えれば今目の前にある生活や人、その全てが幻だった未来もある。そんなこと思えば思うほど、やっぱり大事にしたいと思う。
    偶然だけど、偶然じゃない。
    そんなことに気付けなくなってしまわないように。慣れてしまわないように。
    大事なものを大事に出来るように。
    まあ要は"当たり前"ってどんだけ幸せなことか気付けよおれ!?って気持ちで書き上げました。
     
     
    なんでも素直に言うのって大変じゃない?億劫じゃない?
    衝突をめんどくさいと思ったりすることもあるじゃない。
    恋愛ものの漫画とかドラマとか見てて、いやーおまえそこ素直になれよーって思ったりするけど、自分ごとになったら手の平返すように「いや、だって」って言うし、思うじゃない?
    みんなが違っても、おれはそうなんですけども。
    まあ、そう思うのも自分の歴史の中で素直になって傷付いたり裏切られたりしたことがあったりするからだと思うし、逆に裏切ってしまったこともあったりするんだろうし。
    素直になる方法を忘れていくというか、自己防衛の仕方を覚えていっちゃうんですよね、大人になるにつれて(この年齢では割と素直な方だと自称してます)。
    でもこのアルバムでは素直になりたかったんだよね。
    出せない期間が長すぎて、もう一周回って開き直りみたいな。
    たとえ傷つこうと素直に書きてえってなったの。
     
    このアルバムではありのままの自分でいたかった。
     
    特にこの曲では。まっすぐ歌いたかった。伝えたかった。ありがとうって言いたかった。
     
    ひさびさ?いや、初めて?
    おれもようやく素直になれたよ。
     
    長くなっちった。
    友達諸君、結婚するときには、式でこの曲使ってくださいな。
     
    HOWL BE QUIET
    竹縄航太




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    〜「fantasia」歌詞はこちらから〜
    https://www.uta-net.com/song/270708/