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「Reversi」
「Reversi」
バンドってのは一人じゃ出来ないからバンドなわけで。
漫画みたいな話だけど、一人じゃないから乗り越えられたこともいくつもあったなーと思う。そのうちの一つがこの「Reversi」という曲でした。
アルバムに向けて、いろんな曲を書いていた時、たまに訪れる絶望的なまでのスランプに陥った。もうなーんにも出てこない。
よし。気分転換に散歩しよう、テレビ見よう、ゲームしよう、お酒飲もう、と試みたその全てが、ただそれをしただけで終わるというまあなんともみっともない日々。
メンバーから「新曲はどうだい?」という連絡が来るたびに「お、おう、いい感じに作れてるよ。もうちょい待ってな」となんとかその場をしのいで。あんなに嫌いだった"宿題"という文化が羨ましくなるほどだった。
だって、これやれば終わりですって決められてるのよ?それで終わりなんだよ?そのあと何してもいいのよ?そんなことに当時は気付くわけなかったけど、いま思えば"終わり"があるって優しいよななんて。
とにかく終わりが見えないどころか始まりもしなかった。キングオブスランプ。
そんな時、メンバーが提案してくれた。
「なんかさ、おれらでいいな!って思うフレーズ作るから、そこからイメージ膨らませてみてよ!」って。
基本的におれの中で曲が出来てから、みんなでフレーズとかアレンジを詰めていく流れだったから、その提案はすごく新鮮だった。し、力になろうとしてくれてることが嬉しかった。
それで後日メンバーからスタジオに入って作ったフレーズが送られてきた。
かっちょいい〜!ってなって、すぐにみんなでスタジオへ。
あのスタジオはほんと楽しかったなー。
高校生に戻ったみたいにジャカジャカ出来てたのしかった。
たぶん、普段ピアノばっか弾いてるから、ギター弾けんの楽しい〜〜っていうのも入ってた。だいぶ。とにかくたのしかった。
そして、そこで出来上がったものを家に持ち帰る。メロディーがスッと降りてくる。完成。
という流れの予定が全く変わらず。おかしい。何かがおかしい。
なんでだ?なんでなんだ??なんでなの?
自問自答した挙句、ようやく答えが出た。
「わかった。大声で歌ってないからだ。」
すごくシンプル。勢いが足りない。いつもなんだかんだで夜中に作ることが多いから、メロディーを作るときはヘッドホンをしながらピアノで作るか、アコギをポロポロ弾きながら蚊の鳴くような声で作る。
この曲はそれじゃダメだと気付いた自分は、勢いのまま歌おうと決意する。
行け、おれ。アコギを搔き鳴らしながら大声で歌った。出た。出てくれた。出てくれるもんなんですよね、こういう時。
そのまま全て録音して、デモが完成。
本当にこれに関しては不可解だし、一生答えを知ることもないと思うんだけど、この時おれはなぜか「Pumpkin」というタイトルでみんなにデモを送った。
一瞬の過ちでいまだにスタジオで「パンプキンやろうぜ!」って会話が出てしまう。
おれとしたことが。
でも、タイトルは置いといて、曲はメンバーも良いと言ってくれたのでそのままフルコーラス制作へ。そして2番終わりまで作り終えて、この先の展開どうしようかと考えていた時、ふと頭をよぎった。
「あ〜、みんなで歌いたいな〜」
曲を聴いてもらえればわかると思うけど、みんなで歌いたい、もうみんなの声だけでいい、という部分があるのでおたのしみに。みんなで歌おうね。
話は戻り、フルコーラスは無事完成し、お次は歌詞。
この歌はとにかく言いたいことがハッキリしてた。
というか曲に「おまえこれ歌え!」って言われたってくらい曲に教えられた気がする。とにかく言いたいことはおれらまだまだやったるぞっていう気持ちだった。
反骨精神?下克上?様々あるけど、とにかくここで終わりじゃないぞってことが歌いたかった。おれらの中でも久しぶりのロックな曲だったし、そういう気持ちがおれだけでなく、メンバーみんなにもあったと思う。
そして、本当にみんなで顔合わせて、リレーのように一個一個バトン渡して、グワッて作った曲だったから、それも嬉しかったかな。
"バンド"ってこういうのだよなっていう曲が出来た。
おれだけじゃ生まれなかった曲。
それがすごく、愛おしい。
HOWL BE QUIET
竹縄航太
〜「Reversi」歌詞はこちらから〜
https://www.uta-net.com/song/270913/