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「覆水盆に返らず」
「覆水盆に返らず」
いつ書いた曲だっけかと、メンバーに送った時のメールを見返したら2017年の11月。
なんやかんや1年半くらい前になる。
あの時は冬から回る「Dousite TOUR」という旅に向けて、新曲をたんまり書いていた時期だった。Mr.HOLICというアルバムを出して、そのアルバムツアーを回り終え、普通なら次のリリースの目処を立て、シングルならシングル、アルバムならアルバムに向けて、新曲を作っていくという地下作業に入っていくんだけど、昨日も書いたようなバンド内の事情だったりが解決しないうちは、次の話が出来ないんじゃないかとスタッフに言われた。
悔しいけど、その通りだと思ってしまったなー。また早く次の作品を聴いてもらいたい気持ちも勿論あったけど、中途半端に届けたくはなかった。リリースしてすぐにバンドからネガティブなお知らせをしなきゃいけないことほど悲しいことはない。作品に変な不安や疑いを持って欲しくもなかった。
ただ、曲は書き続けたかったんよね。
逆にそれくらいしか出来ることがなかったし、それだけはやめちゃダメだと思った。
やめたくなかった。やめないでいたかった。音楽を嫌いになりたくなかった。
そして、それが自分の、おれらの意志だった。
次の約束も出来なくて、不甲斐ないなあと何度も思ったけど、それでもライブに来てくれる人や、待ち続けてくれる人に恥じない音楽家ではありたかった。
だから、たとえモノとしてなにかを残せなくても、ライブはやりたかった。
ライブでだけしか聴かせられなくても、新曲を歌いたかった。
その熱量に身を任せ、まず書き上げた曲がこの「覆水盆に返らず」でした。
あの時期生まれた曲は他にもたくさんあったなー。
「味噌汁」とか「冬のせい」とか「I'M HOME」とか。まあ、その話はまたいつか。。
とにかく、ふくぼん(メンバー内では覆水盆に返らずを略してそう呼ぶ)にはDousite TOURで散々世話になった。ツイキャスでも歌ったり、手書きの歌詞を終演後に配ったりした。
それもこれもどうにかして、おれらはまだ生きてるぞ!って言いたかった。
こうやって書いてるといろいろ思い出すなー。実はアレンジが全然決まらなくて、それでもライブでは歌いたいから、ライブでは一番を弾き語りで歌ってたこととか。
CDを出していないこともあれど、Dousite TOURでその前の「僕虫君男ツアー」から動員が落ちてしまって悔しかったこととか。
あの頃ずっと話聞いてくれてたマネージャーともお別れしたこととか。
6.5畳(0.5畳大事)1Kで4年過ごした208を今年やっと引っ越したこととか。
受験でライブ行けなくなるんです、って言ってたあの子はもう2年生になるのかーとか。
考えれば考えるほど、2年という月日の長さに気付く。
でも、ネコ型ロボットはいないわけだし、今こうやって音源を出せることにとにかく嬉しくなる。
悪あがきでも新曲を歌いたかったあの頃だったけど、書く歌詞はまあ変わらなかったね。
そこにいたのはやっぱりわたしでした。
「愛想尽かさないで〜」だって。
のっけからおれ。
でも今読み返すと、無意識のうちに、その言葉を歌いたかったのかなーなんて思う。
いろんなところであの曲やらないんですかー?とか
あの曲の音源はまだですかー?って聴いてくれてありがとう。
みんなと一緒にライブで育ててきた曲が、2年振りのアルバムの頭を飾ったよ。
一曲目がこの歌でよかった。
HOWL BE QUIET
竹縄航太
〜「覆水盆に返らず」歌詞はこちらから〜
https://www.uta-net.com/song/270914/